July 19, 2016

前回の概要でもお話しした通り、居住者に該当した場合は全世界所得が課税所得になります。
基本的なベトナムの課税所得の考え方は、包括的所得概念です。
個人が受け取る経済的な利益・収入を所得としてとらえています。
ですので、キャピタルゲインはもちろんのこと、贈与や相続も課税所得に含まれます。
Cirlular111/2013/TT-BTCでの課税所得と非課税所得の主な例をあげます。

(課税所得)
・個人事業所得
・給与所得
・投資所得(金銭の貸し付け、株式投資から生じる利子、配当等)
・投資譲渡所得
・不動産譲渡所得
・商標権・技術移転などによるロイヤルティ所得
・相続・贈与所得


一方、非課税所得は以下になります。
・近親者間の不動産譲渡所得
・近親者間の不動産の相続・贈与所得
・年金
・住居用不動産の譲渡所得
・一次産業の事業所得
・超過勤務手当
・越僑からの外貨送金
・工業団地、経済特区等で働いている従業員に対して雇用者が無償提供する寮の現物支給
等となります。



得に日本人の出向者にとっては、以下の非課税所得が重要となると思います。
・労働契約書に記載された外国人のベトナムへの赴任費用(なお日本に帰国するときは課税されます。)
・労働契約書等に記載され、証憑を具備した年1回の一時帰国費用
・労働契約書等に記載され、雇用主により支払われ、支払証憑を具備した子女教育費(幼稚園から高校まで)
・課税所得の15%と、実質家賃を比較して超えた部分(雇用主により直接支払われる必要あり)
・出勤に使用しており、会社名義で契約した社用車代(使用明細によって、特定の個人の利用がほとんどであると認められる場合や、あまりに休日に特定の個人が遣っている場合は課税所得とみなされるので注意が必要です)

特に最初の3項目、非課税所得となるためには当初の労働契約書に明記されていないと認められません。
以前は、出向契約書に記載されていればよかったのですが、近頃(2015年以降)は出向者と現地法人との間できちんとした労働契約書を締結しなければ当局側が認めないということもあると聞いています。ですので、労働契約書を作成することも検討が必要と思われます。
また、子女教育費や家賃、一時帰国の渡航費は雇用主が直接支払うことを求めているので、インボイスは雇用主である会社名であることが必要です。
インボイスを発行してもらうのに時間がかかることが多いので、インボイスを入手するのも非常に面倒です。場合によっては、手間と時間をかけてインボイスを入手するか、所得税を払うかの比較考量も必要かもしれません。






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